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男子の一般アマに「ドライバーは平均してどのぐらい飛んでますか」と聞くと「240から250ヤードぐらいかな」と答える人が少なくない。

 例えば400ヤードのミドルホール(パー4)で、残りの距離が150ヤードぐらいだったのでティーショットは250ヤードぐらい飛んだと思ているわけだが、フェアウエーがやや下っていたり、フェアウエーが硬いためによく転がったり、あるいは少しさばを読んでいるホ―ルも少なくない。昔、ゴルフ雑誌の編集部にいた頃、パー4のホールを実測してみらた表示された距離より10ヤードぐらい短かったことがある。

ドライバーがパーシモン(北米産の柿の木)ヘッドだった時代、男子プロで280ヤードと言えばかなりの飛ばし屋だった「飛ばない名手」の杉原輝雄の平均飛距離は250ヤードぐらいだといわれていた。

今はチタン合金のクラブヘッドにカーボンシャフトの時代だ。しかも45インチの長尺ドライバーなので、一般のアベレージゴルファーでも飛距離が伸びているのは確かだ。しかし、男性でも体に恵まれていて、スイングもかなり良くないと250ヤードを正確に飛ばすのは至難である。

それなのに、身長155センチぐらいの小柄な体でも、240から250ヤードぐらい飛ばす女子プロは日本にもかなりいる。23年8月27日現在の日本女子プロゴルフ協会所属のプロの平均飛距離を見ると250ヤード以上が15人、240ヤード以上は36人もいる。一般のアベレージゴルファーには男子プロよりも女子プロのスイングのほうが参考になると思ったほうがよい。

女子プロはたいがいアッパープロー気味にボールをとらえて飛ばしている。アッパープローとはスイングアークの最下点までクラブヘッドが下降して、スイングアークの上がり際でボールをとらえる打ち方のことを言う。

しかし、意識してクラブヘッドを下から上に向かって振り抜いているわけではない。ボールの後ろに頭を残して振り切ってやれば自然にスイングアークの上がり際でアッパーブローにボールを捉えることが出来る。

そうするとクラブヘッドがよく振り切れてヘッドスピードも出るので、遠くへ飛ばすことが出来るというのだ。遠くへ飛ばしてやるにはヘッドスピードが速いほど良いとよくいわれる。

しかし、意識的にヘッドスピードを出そうとすると手で加速しようとしてタイミングが狂って失敗することが多い。女子プロのドライバーショットを見ていると振り切るときのスピードはそんなに速くない。それでも小さな体で250ヤードも飛ぶのは上体を後ろに残してアッパーブローにボールを捉えてクラブヘッドを振り抜いているからだという。

ドライバーでボールを遠くへ飛ばすにはバックスイングで体をよく捻転することも忘れてはいけない。「頭を動かすな」といわれて、スタンスの真ん中に構えた頭をまったく動かさずにバックスイングしようとしたら肩は回らない。頭を右に動かさずにバックスイングして逆に左に動いている人も少なくない。これでは肩が上下動しているだけで体はまったく回らない。

女子プロのドライバーショットを見ていると、バックスイングで右ひざのほうに頭を少し動かすことによって体を大きく捻っているプロが多い。杉本英世も「バックスイングで頭を右ひざの上まで動かせ」と教えている。そうすれば誰でもバックスイングで体が回るようになるというのだ。

作曲家の故・平尾昌晃は「女子プロのようにと言ってスイングしたらショットがよくなった」と言っていたのを思い出す。

(ゴルフジャーナリスト;菅野徳雄)

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